自動化こぼれ話(190)簡単な計算

山梨大学名誉教授 牧野 洋

1分間に生産される量を1万倍すると1か月あたりの生産量となる。これは1日1直、実動時間を8Hとしての概算である。「エート、わが社は1日の実動が7.25H、1Hが60分、1か月が平均23日とするとこれを掛けて10005分、−――大体そんな数字になりますね。」 

そうそう、そういう厳密な計算をやらなくても答えの出るところがこの計算の良いところなのである。 

自動化支援センターの仕事でA社の組立ラインの自動化をお手伝いした時の事。B社のご厚意で特別にB社の自動化されたラインを見学させていただけることになった。

帰ってからの私の質問。「あのラインのタクトタイムは何秒でしたか?」 

皆顔を見合わせている。(1時間も見学していたのに。)  「6秒です。それで、その製品の生産量はいくらですか?(これは会社案内のパンフレットに載っている。)」  「月産20万個です。すなわち、同じようなラインがもう1本あることになります。あるいは、昼夜2交代で作っているかもしれません。」と、まあ簡単な計算から、こんなことが分かるわけである。

このラインは最近導入されたロボットセルがあった。  困難な人手作業をロボットによって自動化したものである。作業がふくざつなためサイクルタイムが長くなり、そのため、7台の同じセルをパラレルに設定している。

さて、このロボットセルのサイクルタイムはいくらだったか?