自動化こぼれ話(186)360度循環と0度循環

山梨大学名誉教授 牧野 洋

ワークをパレットに載せ、パレットごと機械の中を循環させる。自動組立機械などで普通に行われている方法である。

この場合、パレットを運ぶコンベアが楕円コンベアであるとすると、コンベアを一周してきたパレットは始めの位置で元の姿勢に戻る。始め西を向いていたパレットは一周すれば再び西向きである。姿勢は変わらない。しかし、実際には変わらないのではなくて、360度変わっているのである。

このことはパレットに何らかのメカニズムがあり、そこに電源あるいは空気圧源などを供給しようとすると問題になる。配線・配管がねじれてくるのである。これを防ぐには一回回ってくるごとにコネクタを抜き差しするか、あるいは無線給電などの方法を取らなければならない。

コンベアを楕円コンベアでなく、長方形コンベアにすればこんなことにはならない。長方形コンベアでは、角かどで90度づつコンベアの駆動系は向きを変えるが、動かされるパレットの方は一般に向きを変えない。西向きのままで戻ってくる。これは0度循環と呼ぶべきであろう。この点だけで議論すれば、長方形コンベアの方が楕円コンベアよりも優れていることになる。