自動化こぼれ話(173)右クリックして「その他」を開け

山梨大学名誉教授 牧野 洋

ペーパーレスとやらで、情報機器のマニュアルが添付されることが少なくなった。以前はパソコンの付属品を買うとマニュアルが何冊もついてきたものだが、近頃はそれが皆パソコンの中にソフト化されて入ってしまった。某社のプリンタなどは、買ったときにつなぎ方の説明図が一枚入っていただけである。

先日もプリンタの調子がおかしくなる。年末に年賀はがきを散々打ったせいでプリンタがはがきモードになっているのである。ファックスが来ると、A4一枚が四枚に分けて印刷されたりする。プリンタのショートカットを開いていろいろとやってみたが直らない。こんなときには電話を掛けるに限る。

0120から始める。「もしもし。」「只今、電話が混んでいますので。‐‐‐」

やっとかかった。「○○のかたは何番を、‐‐‐。」

こんなときには、なるべく生身の人間の声が聞けそうな番号を選ぶことにしている。

「今、パソコンは開いていますか?」「はい。」「それでは、ここを押して、ここを押して、これが出てきたらこれを選んで、 ‐‐‐。」「はいはい‐‐‐。」 「これこれの絵が出てきたら、右クリックしてください。」「え、右クリックですか? 左クリックじゃないんですね?」「右クリックです。」

「はい、押しました。」

「そうしたら、幾つか項目が出てきますが、一番下に『その他』という項目がありますから、それを開いてください。」「あ、それらしいのが出てきました。どうもありがとうございました。」

これじゃあ分るわけないよね。