自動化こぼれ話(151)個人情報の保護

山梨大学名誉教授 牧野 洋

 個人情報保護法というのができて、名簿の配布などが制限されるようになった。個人個人に許可を得なければ配布してはいけないのだという。つねづね迷惑メールに悩まされ、パソコン1台をウイルスにやられた経験を持つ私としては大歓迎である。

 この時のことを思い出してみると、そのパソコンにウイルス除去のソフトは入っていたのである。起動するとソフトの絵が出てくるので私は安心していた。ただ、そのソフトをアクティブにしなければいけないということを知らなかっただけなのである。それ以来、私は、パソコン付属でないウイルス防御ソフトを高い金を出して買い、まめにバージョンアップしている。

 だが、と、古い名簿をシュレッダーに掛けながら私は考える。なぜ俺がこんなことをやらなければならないのか?そもそも、悪い奴がいて名簿を悪用するからである。そっちを取り締まったらいいではないか。なぜ、善良な市民に手間ひまを掛けさせるのか?

 昔、日本の家屋に鍵はかかっていなかった。夏の暑い夜には窓を開け、涼しい風を入れて寝たものである。それが今では、マンションの5階の窓からさえ泥棒が侵入する。そんなことがあると、それにタイミングを合わせて、二重鍵や厚い窓ガラスの広告が入ったりする。泥棒と鍵屋とはつるんでいるのではないか?

 自動車の鍵も年々複雑になる。その結果、緊急時に車から脱出できなくなったりする。なぜ、車泥棒のほうを捕まえないのだ?

 なぜ、悪い奴のほうを取り締まらないのだ?