自動化こぼれ話(148)CTスキャンの運動特性

山梨大学名誉教授 牧野 洋

 年を取ってくると、さまざまな生活習慣病と懇意になる。私もその幾つかを経験し、病院でCTスキャン(X線断層写真)を受けることになった。

 ベッドの上に横たわり、じっとしていると、ベッド全体が5mmとか10mmとかのピッチでインデックス・モーションを行なう。その動きを体感することができた。

 機械がどのような運動特性(加減速特性)で動いているかを調べるのに、われわれはよく、可動部に指を触れてみるということをする(危なくない範囲で)。そうするとある程度 のことは分かるのである。以前にも、インデックス・テーブルに使われているカム曲線を、このやり方で言い当てたことがあって、これには、その機械を設計した技術者だけではなく、私自身もびっくりしたものである。

 今度の場合、ベッド全体がインデックスするので、私はその動きを指先だけでなく、身体全体で感じることができるのである。どんな曲線を使っているのか? 私の身体は期待で震えた。(震えてはいけない。震えると写真がぼける)。

 ところが、残念なことに、CTの動きは運動曲線というようなものではなかった。ただ単に10mmを動かしてモータを停めているというだけのものである。だから、振動がすごい。

 本来ならば、10mmを0.1秒ぐらいで「すっと」動かすことができるはずである。ところが、「すっと」ではなく、「がっと」動かしてるものだから、そのあとに「がたがたっと」振動が出る。これが0.2秒ぐらい続く。写真を撮る時間はおそらく0.03秒ぐらいだろうと思われるので、合計のタクトタイムは1インデックス当たり0.33秒ということになる。もっと良い運動曲線を使ったならば0.13秒で済むところである。

 1億円もするようなCTスキャン装置で、運動制御部分に掛けているお金はどのくらいだろうか? コストではなく、ベストを狙った設計をして欲しいと思ったことであった。