技術委委員長拝命のご挨拶 −自動化推進協会への取り組み−

関東学院大学 理工学部機械系 西田 麻美(自動化推進協会理事)

このたび、2015年6月の自動化推進協会の総意を得て、常任理事技術委員長の大役をおおせつかることになりました西田麻美と申します。紙面を介して、ご挨拶する機会を得ましたので、私の経験に基づく自動化推進協会に対する思いの一端を申し述べさせていただきます。1972年(私が4歳)の時に発足して以来、43年という長い歴史にわたり、粉骨砕身されてこられた自動化推進協会の技術委員長を拝命したことは、大変光栄なことであり、と同時にその重責に、あらためて身の引き締まる思いがいたします。

我が国は、戦後の復興期から高度成長期を迎え、メカトロニクス分野を確立すると製造業で初めて世界のトップを果たしました。その傍らで、さかのぼること25年余り前、「Made in Japan」の世界へ飛び込んだ私は、男女雇用機会均等法の改正が騒がれる中、新人として原子力発電所向けの自動搬送装置を担当し、設計者としてこれに奮闘していました。手探り状態で試行錯誤を繰り返し、問題に立ち向かっていく道中、自動化推進協会の先輩方の著書や講演をあさっては、その礎をフル活用し、自分が考えた機械を仲間と実現していく喜びに胸を躍らせていたことを鮮明に覚えています。何よりも、オーダーメイドのマシンを無事出荷し、納品されたときの達成感、そして、喜びと安堵とすこし寂しい気持ちで皆と祝杯をあげたとき、我々は時代の先端にいる!そんな誇りと連帯感が明日への活力となることを噛みしめていました。技術という世界で何が大事なのかと気づいた瞬間でもあります。

現在、人口の減少と少子高齢化が進み、自動化を取り巻く環境が予想をはるかに上回るスピードで激変しています。様々な情報が簡単に手に入る時代になり、その反面、物事に関する問題意識や関心が薄れていく、ある意味、ゆとりのない時代です。そこで、自動化推進協会が未来へと存続していくために、三つのビジョンを実行していきたいと考えています。一つ目は、時代のニーズに合わせたコンテンツを提供し、働きかけることです。技術委員会では、(1)自動化基礎講座、(2)メカトロニクス技術試験、(3)特別講座・講演、(4)技術教育支援など教育を柱とした活動を行っています。それぞれの基軸を強化していくとともに、相互に関連づけながら発展させていきたいと考えています。二つ目は、海外展開のパイプを形成し、技術支援をアピールすることです。

特に、21世紀はアジアの時代と言われています。これには、民間企業(メーカー)、技術士・コンサルト、大学関係者との連携を図りながら、積極的に取り組みたいと思っています。三つ目に、ものづくりに情熱を持った若手が集まり、そこで、先陣のように、世界を変える種が日々生まれ続けるような風通しのよい協会作りの実践です。それには皆様のご協力が必要不可欠ですので、どうぞよろしくお願いいたします。

以上をもちまして就任の挨拶とさせていただきます。