集中か分散かで悩む

コンサルタントジャパン(株) 高久 龍雄(自動化推進協会理事)

どちらかを選択する際には、優劣項目を箇条書にしてから軽重を数値化したウエイト付けと過去のデータを参考として添えた「見えるチェックリスト」を作成してから、選ばれたメンバーにチェックをお願いするのが一般的です。

事が重要ならメンバーによるワイガヤを行い侃々諤々・喧々囂々での意見書とチェックリスト集計をもとに責任者に判断をいただくのが一流企業の流儀でしょうか。

しかしながら、選択にはAかBかを選ぶ方法とAを3割でBを7割とする方法があり、またAとBをミックスする方法も存在しています。

私が優良企業推進室長を拝命していた時には、選択と判断が日常的な仕事でした。例えば、全社の設備予算統括の仕事で高額な三次元測定器を購入するという事例がありました。

各事業所ごとにメーカーが選択され、購入金額もバラバラの予算申請が出されました。全社統括をする立場では将来の姿を絶えず考えた上での判断をしなければなりません。そこで三次元測定器購入での「チェックリストとワイガヤ」を行ってからメーカーの選定と妥当な購入金額を決めて本社購買部に折衝をお願いしました。

この時に考え出した方法が『集中購買・分散納入』という方法です。すなわちAかBかではなく、Aが3割Bが7割でもない、AとBをミックスする方法でした。その後この方法は、全社で使用される文具類などの購入も横展開され、毎期各事業所で使用する「鉛筆から什器類」を本社購買が一括し購入数量と価格を決め、メーカーや販売店に入札をお願いし決定された後は、各事業所に月別・職場別の分散納入をしてもらいました。予算削減と標準化に多大な効果がでた事は言うまでもありません。

自動化設備の設置にも分散か集中かでの事例があります。利益の大半を占めていた、事務用消耗品の自動化生産拠点をどこに置くかの議論が経営会議で行われました。

私は多角的に検討したプレゼンを行い役員のご意見と決定をお願いしたところ、役員会判断として設備予算が多大になるところから集中化に意見が流れました。私はスタッフとしてリスク回避論のプレゼンが欠けていたことに気づき急きょ発言したところ「消耗品の供給が止まると本体の販売も止まり事業が立ち行かない論」が出て流れは一挙に分散化になり、それも世界規模での分散生産化に決定されました。

35年前の話ですが、今日考えるとあたり前の結論です。利益本位で集中化に決めがちですが、長期的に考えたらどちらが有利なのかを十分に検討しなければいけません。この議論は全てのことに言えます。例えば都市建設を考えた場合、高齢化社会では集中都市が有利ですが災害列島国では分散都市の方が有利です。迷走しながらの昨今ですね。