「自動化の定義12ヶ条」に永遠の挑戦

コンサルタントジャパン(株)高久 龍雄(自動化推進協会理事)

学生時代の専攻は品質管理であった。当時では最先端の学問で各企業ではデミング賞を取ろうと躍起になっており私の学部では各学生に50社以上の求人要望があり、選ぶのに大変だった。今日の就職状況と比べ隔世の感がある。住居に近いので通勤が楽だと考えて就職したキヤノンでは入社後に品質管理室が潰されデミング賞獲得の方針も変更されて、正に品質管理が抹殺されてQCの言葉も禁句になり当然のことで私の配属先も「工機設計」になっていた。 工機設計課は機械や精密の出身者で固まっており、私の専攻してきた管理工学の者など皆無であった。メカ設計のプロ達に立ち向かう技術的な素養のない私は「どうしたらこの職場で存在感を出せるのか」と日夜悩んで現場や機械倉庫などをうろついて、答を求めていた。

その結果、テーマを二つ見つける事が出来た。第一には倉庫の治工具類を見ながら「標準化が全く出来てない」と気づいた。それなら治工具類の標準化を進めて機械工学の専門家でなくても「簡単に設計」出来るようにしてやる。そう思った私は管理工学の専門である「整理分類や最大公約数的なまとめ技術」を活かし標準化提案を行った。その結果、機械工学専攻の方々に「面倒な事をしてもらって」と感謝され標準化が進み設計効率が2倍以上になった。第二のテーマは現場を歩きながら「こんなにも人間が機械のように働いて楽しいのか」と疑問を感じたことである。そこで「人間がやらなくとも自動機で生産できる研究」をやる事にした。当時は、自動化技術などの学問も無いので丸善の洋書売り場に入り浸り、そこで見つけたのが「Assembly Engineering」なる雑誌であった。高価な雑誌で月給の3割もしたが自動化設備の紹介もあり、唯一の先生になった。そこからキヤノン自動化技術が始まり、人手から自動化へと研究開発が盛んになった。 そうした半世紀もの自動化技術研究の失敗や成功の結果「自動化の定義 12ヶ条」の存在に気づいた。それらは次の項目に集約され開発の都度に「チェック」している。

1)完全無人であること
2)高速で生産できること
3)不良を出さないこと
4)全てに安全であること
5)汎用に使えること
6)省エネであること
7)軽量で移動ができること
8)静かでゴミがでないこと
9)めったに故障しないこと
10)使い方も設置も簡単であること
11)メンテが簡単で費用が安いこと
12)設備全体が安く納期が早いこと

現在、生産に寄与している自動化設備を見渡しても12ヶ条を満足させているものは皆無であろう。

また、世界を見渡せば自動化設備未納入職場は99%以上だと思うと「巨大な需要」が大口を開けて期待している。「完成度を高める要求市場と未納入で急を要する市場」を満足させるには途方も無い研究開発の費用と時間と要因がこれからも絶対に必要になる。『自動化技術』は永遠だ。