自動化こぼれ話(132)ポイ捨て運動にご協力お願いします

山梨大学名誉教授 牧野 洋

 駅の構内で「ポイ捨て運動にご協力願いま〜す」と、大声で叫びながらビラを配っている男がいた。

 そりゃあないだろ。ポイ捨て廃止運動ならわかるが、ポイ捨て運動とはどういうこっちゃ。このビラは読んだらすぐその辺に捨ててくれということか?

 思うにこの人は駅の職員で、ポイ捨て廃止運動と言うべきか、ポイ捨て禁止運動と言うべきか、それともポイ捨て防止運動と言うべきかさんざん迷ったあげく、共通項を取って「ポイ捨て運動」と言うことにした(そんなに頭を使っているとは思えないが)。 しかし、省略するのはいいが、大事な言葉を省略するのは困る。意味が反対になってしまうではないか。私は原爆投下運動に賛成したり、テロ活動を推進したりはしたくない。

 「ございまーす」というのもある。喫茶店でコーヒーを飲み、金を払って店を出ようとすると、女店員が「ございまーす」という。これはもともとは店長が「有難うございまーす」と言ったのを受けて、オーム返しに「ございまーす」と言っていたのが、いつの間にか「ございまーす」だけになってしまった。店員が3人も4人もいたりすると、「ございまーす」の合唱となる。

 こんなのは「ねがいまーす」だ。